新任教員教育セミナー(2021.9.22開催)

テーマ5「これからのオンライン授業を考える」

  • 事例紹介:田口 真奈/酒井 博之 准教授(高等教育研究開発推進センター)・梶田 将司 教授(情報環境機構)
  • ファシリテータ:Singh Kumud Brahm 特定助教(高等教育研究開発推進センター)

 本セッションには学内13の研究科・研究所・センターより、33名様が登録し、最終的に23名の方が参加しました。その冒頭、田口准教授より趣旨説明がありました。田口准教授は、もともとICTを活用する目的として授業をゆたか・便利にすることと遠隔の人にも教育ができると述べました。これはコロナ禍の前ではオンライン授業の目的でありましたが、コロナ禍によくわかったのは学びを止めないためにもオンライン授が不可欠であるとのことです。このセッションの目的として「コロナ禍で皆様がオンライン授業に関して経験したこと・わからないこと・疑問があることについて」と「これからのオンライン授業について考えてもらいたい」と説明されました。
 そして、ズームの「ブレイクアウトルーム」の機能を利用して、参加者から4~5人を一つのグループにして、各グループにできる限り違う所属部局や役職の人が入るように6つのグループを組みました。各グループが簡単に自己紹介のあと、グループメンバーが「今までやってきたオンライン授業や自分で受けたオンライン講習会等の経験」「このセッションを選んだ理由」「今日のセッションで特に知りたいことや聞きたいことや解決したいこと」について情報を共有してもらうことについて話しをしました。グループワークの際は、情報共有のためにオンラインホワイトボード「ミロ」(https://miro.com/index/)を使用しました。グループワークを始める前に、田口准教授はオンラインホワイトボード「ミロ」についても説明しました。
 上記に続く講義では、参加者がMiro上で書き込んだ意見・質問を参考に酒井准教授より京都大学が提供しているオンライン教材で環境について、特にOCW、edX-MOOCsとSPOCs(KoALA)の概要の説明と、それらの環境で実際に組み込んだ授業の事例を紹介しました。参加者からグループワークの際「著作権」について質問があり、その回答を含めた形で酒井准教授の講義が進められました。梶田教授よりPandAについて、2012年からこのサービスが始まり、コロナ前PandAは全科目の10%ぐらい使われたとの状況であって、コロナ禍のオンライン授業化で劇的に変わり、9748科目のサイトも開設され、資料の配布、課題の作成、学生による提出、先生による採点などについて使われました。今まで「PandAは学内のサーバで運用されていたが8月にCloud Service, AWSに移行し、動作に関して変更はない」との情報を提供しました。
 酒井准教授と梶田教授の説明の後、参加者は再び先のグループに戻って講義を聞いてから改めて浮かんだ疑問・質問や新しく考えたこと・意見・質問」を皆に共有し「本日ぜひ解決したい質問・疑問」を決定しました。
 グループワーク後の全体会では、参加者からの質問・疑問に対して、田口、酒井、梶田の各講師がそれぞれ答えていくという仕立てを取りました。各グループから挙げられたものには、「動画を録画して配信する授業の場合の質問で、毎年更新する必要があるか」「ハイフレックスの授業についての質問」「著作権についての質問、興味を引くようのキャラクタなど使ってもいいのか」「学生が寝ない工夫」「学生に参加させる方法」「PandAのZOOM講義の中で、Miroを学生に使ってもらうことができるか」「学生がオンライン授業のため使用しているデバイスはパソコンじゃない場合の対応」などがありました。これらの質問に対して各講師からは、「同じ内容なら毎年撮る必要はない、あるリソースをうまく使って楽に、効率的にかつ効果的に使った方が良い」「情報環境機構の先生と協力して講習会を実施し、詳しく書いてサイトCONNECTの紹介」「CONNECTというサイトの中に著作権に関する注意事項についてまとまっている、キャラクタが難しい、避けた方が良い」「学生のカメラをオン・オフさせるタイミングをはっきりさせると良い」「学生間のコミュニケーションを促す方法として、PandAのフォーラム機能を使うというものがある」「MiroとPandAは完全に独立なものなので、Miroを先生の方で使えるように準備していただければPandaのことを気にせず使っていただける、個人情報に関しては気をつけるべき」「事前にアンケート形式で、学生の状況を把握して、状況に応じた対応はだいじではないか」のような返答がありました。
 最後の質問「今後対面授業になったときどこまでオンラインツールを使う必要が出てくるか」について梶田先生が「京都大学では平成26年度から学生にBYODの指導によりコロナ禍でもオンライン授業が比較的にスムーズに移行することができた」「With コロナ時代・コロナ収束後も皆パソコン持ってきて授業を受けるのが当たり前になってくる」「Pandaを含めてICTツールを授業でうまく活用することで学習効果・教育効果を高めることができる」と酒井先生は「ZOOMで撮影した講義Videoがある場合には今後一方向的説明するだけの教材を繰り返し使用ができるかたちでICTツールを使い続けることができる」「SPOCを一度つくってしまうと2-3年ずっと活用できるもので、改善しながらも活用できるので、これもご活用してもらいたい」「SPOCs・MOOCsを学外で一般公開することで優秀の学生の確定にもつながります」と返答しました。
セッション終了後も、反転授業に関しての質問のために残られる参加者も見られ、本セミナーまでにコロナ禍でのオンライン授業・講習会等を経験された参加者にとって、改めてオンライン授業について考え今後を展望するとともに、明日以降の授業に役立つ知識を得る場として大変有意義な機会となったようです。