新任教員教育セミナー(2021.9.22開催)

テーマ4「アクティブラーニング型授業をやってみよう」

  • 事例紹介:山下 富義 教授(薬学研究科)・松下 佳代 教授(高等教育研究開発推進センター)
  • ファシリテータ:長岡 徹郎 研究員(高等教育研究開発推進センター)

 アクティブラーニング部会には、16の研究科・研究所等から27名の教員が参加しました。今年の本セッションの特徴は、オンラインでのアクティブラーニングのやり方やコツを説明するだけでなく、それをオンラインで参加者に体験してもらう点にありました。そのため、参加者による体験と山下先生による解説とが入れ子構造のように組み込まれ、構成されていました。講師紹介と趣旨説明のあと参加者は、まずはアイスブレイクとして、ブレイクアウトルームで4人1グループとなり、「ワードウルフ」という、会話の駆け引きの中で「みんなとは違うお題」を与えられた人を見つけ出すというゲームを実施しました。
 続いて、アクティブラーニングを積極的に取り入れている事例として、薬学部で実施されている「薬学研究SGD(Small Group Discussion)演習」が紹介されました。同演習においては、研究者・医療従事者を目指す1回生向けの内容としてコミュニケーション技術の育成や論理的思考力の醸成などを重視している点が説明されました。
 その後、同演習で実際に行われている2つのワークが実施されました。一つが、「よいコミュニケーションとは?これを学生に教育するには?」というテーマについて考えてもらうワーク、もう一つが「医療倫理」を巡って参加者同士がディスカッションするワークです。前者では、よいコミュニケーションに何が必要なのか、そして学生のコミュニケーション能力を高めるにはどう教育したらよいのかを、4人1グループで議論をしてもらいました。そのうえで、「伝える」ための非言語コミュニケーションの重要性を、SDG演習を引き合いに出されながらご説明されました。
 後者の「医療倫理」では、まず、治療を拒否した乳がん患者の事例について、Zoomの投票機能を用いながら意見を聞きました。その後、今度は「プラセボ対照臨床試験」という専門的な題材をもとに、プラセボ(偽薬)を使った臨床試験を受けた患者や家族が思いを語るビデオを視聴し、その上でその是非を考え、4人1グループで学部・研究科を超えて議論しました。
 最後の全体ディスカッションでは、「薬学部で他学部の学生とコミュニケーションをとる機会はあるのか」、「ディスカッションベースの授業で学生を評価する方法」に関する質問がありました。一つ目の質問については、医療系における職種間の連携を実際の医療現場で体験してもらうために、一回生で医学部との交流を実施していることが説明されました。二つめの質問に関しては、山下先生・松下先生からルーブリックの導入やグループで一律に評価を与える方法などが説明されました。
 このように盛んな議論・質疑応答を経て、本セッションは終了しました。オンライン授業でアクティブラーニングをどのように実践していくかを、実際にオンラインで体験し、「アクティブ」に学ぶ機会となったようでした。