新任教員教育セミナー(2020.9.24開催)

テーマ4「アクティブラーニング型授業をやってみよう」

  • 事例紹介:津田 真弘 講師(薬学研究科)・松下 佳代 教授(高等教育研究開発推進センター)
  • ファシリテータ:原 裕美 特定研究員(高等教育研究開発推進センター)

 アクティブラーニング部会には、12の研究科・研究所等から18名の教員が参加しました。今年の本セッションの特徴は、オンラインでのアクティブラーニングのやり方やコツを説明するだけでなく、それをオンラインで参加者に体験してもらう点にありました。そのため、参加者による体験と津田先生による解説とが入れ子構造のように組み込まれ、構成されていました。講師紹介と趣旨説明のあと参加者は、まずはアイスブレイクとして、4人1グループとなり、自己紹介とともになぜアクティブラーニング部会を選んだのかを話し合いました。 続いて、アクティブラーニングを積極的に取り入れている事例として、薬学部で実施されている「薬学研究SGD(Small Group Discussion)演習」が紹介されました。同演習においては、研究者・医療従事者を目指す1回生向けの内容としてコミュニケーション技術の育成や論理的思考力の醸成などを重視している点が説明されました。
 その後、同演習で実際に行われている2つのワークが実施されました。一つが、「非言語コミュニケーション」を体感するワーク、もう一つが「医療倫理」を巡って参加者同士がディスカッションするワークです。前者では、対人距離の違いのもたらす感覚の違いや適切な距離の取り方を津田先生のデモンストレーションによってオンラインで体験しました。このワークを受けて、津田先生から、アクティブラーニングでは体験→解説の順でやっていくのがよいということが説明されました。
後者の「医療倫理」では、まず、治療を拒否した乳がん患者の事例について、Zoomの投票機能を用いて意見を聞き、議論するということをやりました。その後、今度は、「プラセボ対照臨床試験」という専門的な題材をもとに、プラセボ(偽薬)を使った臨床試験を受けた患者や家族が思いを語るビデオを視聴し、その上で、シンク・ペア・シェア(まず個人で考え、その考えをペアで話し合い、そして全体で共有するというアクティブラーニングの手法)によって、その是非を考え、ブレイクアウトルームで学部・研究科を超えて議論しました。
 最後の全体ディスカッションでは、「アクティブラーニングと講義型の授業を15回の中で併用する場合の適切なバランス」、「アクティブでない学生に対してアクティブラーニングへの参加を促す方法」、「アクティブラーニングにおける学生の課題達成度の評価方法」に関する質問がありました。1つ目の質問については、内容によってディスカッションの回と講義の回を分けたり、講義の中に短いディスカッションをはさんだりする方法、反転授業(事前に動画などで講義を聴き、授業ではディスカッションや演習などを行う)の方法などが提案されました。また、アクティブでない学生へのアクティブラーニングへの参加には、講師が学生の様子をよく観察し、意図的にグループを作ったり、司会者の役割を与えるという点が津田先生から説明されました。評価方法に関しては、津田先生・松下先生から学生間のピアレビューやルーブリックによる自己評価、コメントペーパーに対する全体フィードバックなどの様々な手法やグループ評価と個人評価の併用の必要性などが語られました。
 このように盛んな議論・質疑応答を経て、本セッションは終了しました。オンライン授業でアクティブラーニングをどのように実践していくかを、実際にオンラインで体験し、「アクティブ」に学ぶ機会となったようでした。