新任教員教育セミナー(2015.9.25開催)

テーマ5「博士課程院生のキャリア形成を支援するには」

  • 報告者:相川 知宏 助教(医学研究科)
  • 事例紹介:奥村 正悟 教授(学生総合支援センター・キャリアサポートルーム 室長)
  • ファシリテータ:田中 一孝 特定助教(高等教育研究開発推進センター)

 医学研究科の相川です。よろしくお願いします。私たちは「博士課程院生のキャリア形成を支援するには」というテーマでディスカッションをしてまいりました。今回は5人という少人数参加であっただけに、非常に有意義な討論ができたと思います。

 今回のテーマは博士課程学生のキャリア形成ですが、さまざまな学部、学科の違いがありますので、アカデミアのポストについての話はせず、就職を焦点に話し合いを行いました。奥村先生から、現在、企業に就職するに当たって一般的にどのような相談を受けていて、どういう回答をしているのか。あるいは、企業は今こういう人材を求めているという実情などもたくさん伺うことができました。

 日本の企業には新卒採用という独特なシステムがあり、能力はあるけれども真っ白な人間がある意味では求められています。対して博士課程に行っている者は自分の専門性をうまく生かしたいと考えるため、ここで矛盾が生じます。結論としては、教員がこうしたら必ず学生のキャリアがうまくいくということはありません。ただ最も重要なのは、まず研究室の中でよく話すこと、教職員と学生が密にコミュニケーションを取ることだという話になりました。就職で悩みを抱えている学生は、研究室内でも立場があまり良くないという状況が散見されます。この場合は、奥村先生をはじめとするようなキャリアサポートルーム、もしくはハラスメントも含めた本学の専門の部署にまず相談する。まず相談相手になってあげることで変わる部分もあるのです。これは就職に限った話ではないですけれども、まずこれが一番大きいことです。

 学生の能力を企業に示していくことを、もう少し細かく丁寧にしていくべきだという提案もありましたが、実はもう京都大学では「マッチングシステム」というシステムが動いています。自分にはこういう能力があります、こういうことをやってきました、専門はこうですということを、企業の方にウェブサイト上でアピールできるシステムが、もう今の段階で動いているそうです。ですので、もし私たち教員の方に相談があれば、まずは相談に乗ってあげる。そして、相談された場合は、こういう選択肢もあるよ、京都大学がやっている企業とのマッチングシステムを利用するのもありなのではないかということを伝える。奥村先生からは、ぜひキャリアサポートルームの方へも相談してほしいとのことでした。

 今回はこれだという結論こそ出なかったのですが、とても充実した議論ができたのではないかと思います。