新任教員教育セミナー(2015.9.25開催)

テーマ4「研究室をどう運営するか」

  • 報告者:高塚 康平 助教(工学研究科)
  • 事例紹介:宮野 公樹 准教授(学際融合教育研究推進センター)
  • ファシリテータ:奥本 素子 特定准教授(高等教育研究開発推進センター)

 工学研究科助教の高塚と申します。皆さんほど長々としゃべれないので、すごく短くなってしまうかもしれません。私が参加したセッションでは「研究室をどう運営するか」というテーマで、宮野先生にお話しいただきました。まず一言目におっしゃっていたのは、皆さんが抱えられておられる、「うちの研究室では、もしくは学生にはこんな問題があるんだけど…」ということに対しては、こうすればいいという答えはないということです。基本的には、自分でちゃんと考えて、悩んで、いろいろ対処法を考えていくことが大事だというお話でした。

 自分で対処法を考えていくに当たって大事なこととして挙げられたのは、教員が研究者として独善的に学生を指導するとよくないという点でした。独善的な指導は、学生のモチベーションが少しずつ下げ、最終的な学生の研究成果にも影響を与えます。学生の研究成果が悪いと、指導教員のモチベーションが下がってしまい、また上から目線で指導するということで、どんどん悪循環になってしまうことがあるそうです。だから、研究室を運営するに当たって一番大事なのは、ああだ、こうだといろいろ指導する前に、まず研究室と学生のモチベーションを上げることであり、学生のやる気を出させることが一番大事だと宮野先生はおっしゃっていました。

 具体的にどのようにモチベーションを上げていくかは、学生や指導教員自身の個性というか、特性にも大いに依存するのですが、宮野先生はまず、自分がどういう人間で、どのような形で考えているのか、どんな研究方針で考えているのかということを、新しく所属した学生になるべく早い段階であらかじめ示すことが重要だとおっしゃられていました。もし問題があったときに、実は僕はこういう考えなのだと言い訳チックに話すと、どうしても印象が悪くなってしまいます。なので予め自分の方針を学生に説明するのが第一だということでした。その上で、学生をそれぞれ個人的に見ていって、この子はどのように指導したらいいか、例えば手取り足取り教えた方がいいのか、という学生にあった指導を考えていく必要があるという話でした。もし、手取り足取り教えた後だったら自分で歩けるという学生であれば、その子に合った方針で教え方も変えていくことも重要だそうです。また、研究がうまく進んで、いい成果が出た学生に対して褒める際も、どのように褒めたらいいのかは学生によって違うそうです。どういうところに着目してその子を伸ばしたらいいのかということも、研究室の運営では大事で、そのことが結果的に学生のモチベーションを上げるということが分かりました。

 もう一つとしては、そういうふうにモチベーションを上げる作業をするに当たって、指導教員が表立って支援するより、なるべく間接的に、あまり目立たないように学生のモチベーションを上げていく必要があるそうです。指導教員は間接的に学生同士の学び合いや話し合いの場を設けることにより、結果的に研究室全体の運営がうまくいくというお話を頂きました。