新任教員教育セミナー(2015.9.25開催)

テーマ3「困難を抱えた学生に向き合うには」

  • 報告者:森瀬 譲二 助教(医学研究科)
  • 事例紹介:上床 輝久 助教(健康科学センター)
  • ファシリテータ:溝上 慎一 教授(高等教育研究開発推進センター)

 医学研究科人間健康の森瀬と申します。テーマとしては「困難を抱えた学生に向き合うには」ということで、実際、僕自身もそういう院生を見てきたので参加しました。参加者の意見を聞きますと、やはりそういう院生に触れてきたことが多いようで、家族や経済の問題を抱えている人、あるいは就活の失敗などで落ち込んでしまっている人に対してどう対応したらいいのか。そういうメンタルヘルスに関する問題を抱えている人には、皆さまも恐らく触れたことが多いかと思いますが、そのような事例に対してどういう対処をすべきかというところを主にセッションをしてきました。

 詳しくは添付の資料等に書いてあるのですが、簡潔に申し上げますと、そういう状況になる前に予防する重要性。そして、発生したときに、それをわれわれがどうやっていち早くキャッチできるのか。そして、その情報の収集といった点が、対応として重要になってくるのではないかと感じました。予防という点では、精神障害の知識をある程度持っていたり、事例が発生した場合にいち早くキャッチするポイントとしては、いわゆる学生の出席率や成績の低下、身だしなみが普段とは違うといったささいな点を早く察することが重要であると考えられます。また、情報の収集という点では、どうやって集めていくのか。実際に学生と面接を行うのか、あるいはその方の家に実際に訪問するのか、そのあたりは非常に繊細な部分ではないかと感じました。

 そのセッションの中では、具体的な事例を三つ挙げて、その事例をどのように扱っていくのかという話し合いがなされました。その一つの中身としては、留学生が研究室に入ってきた際にどういうふうに対応すべきなのか。その方が心因的な反応を起こした場合に、われわれはどう接するべきなのかということも挙げられました。そういった場合には、留学生に対して言葉の分かる人を間に入れたり、対人関係やコミュニケーションをうまく取っていけるような環境を整えるのが重要ではないかということが議論されました。それから、留学生を担当する研究室内の院生の心身の負担なども、われわれ教員側が考慮すべきではないかという議論もされました。

 お話を伺っていて、一番重要ではないかと個人的に思ったポイントとしては、困難を抱えた人に対応するタイミングの難しさではないかと感じました。教官としてどういうふうに触れていくのか、厳しく接するのか、保護的に接するのかといった部分は、教官一人で抱えずに、チームとして問題を解決していく方向に導いていけるのが最も良い手法だということが、最後に皆さんの中でまとまっていました。

 あとは、本当に精神的な疾患があった場合には、診療所で診療を受けていただくというところが大きなポイントではないかと思います。