新任教員教育セミナー(2015.9.25開催)

テーマ2「基礎概念の理解を確かなものにするには」

  • 報告者:宮内 雄平 准教授(エネルギー理工学研究所)
  • 事例紹介:琵琶 志朗 教授(工学研究科)
  • ファシリテータ:松下 佳代 教授(高等教育研究開発推進センター)

 エネルギー理工学研究所の宮内と申します。私たちのグループでは「基礎概念の理解を確かなものにするには」ということについて議論しました。参加された先生方のご専門が文系から理系まで幅広く、また、担当しておられる講義も、物理学、民事裁判、図書館情報学、看護学など多岐にわたっていたので、その中で基礎概念というものがどういうものになるのかということも含めて議論しました。

 それぞれの授業の内容や課題について各参加者が話した後、工学研究科の琵琶先生から、ご自身の授業についての取組を語っていただきました。なかでも印象的だったのは、学生自身にとにかく必死に考えてもらうしかないということと、そのための工夫です。特に基礎的な科目では、板書しながら、それなりにゆっくりしたスピードで例題を解いていって、学生に理解してもらうようにする、原理の導出をしていって公式としては覚えさせない、小テストやレポートをやる、身近なものを使って具体例を示す、といった方法論を教えていただきました。さらに複雑な、式が多くなってくるような授業では、板書ばかりになるのでかなり難しいということなのですが、小テストやレポートをたくさん入れて理解度を高めるというような方針を教えていただきました。

 琵琶先生はまた、最近の学生同士は課題などであまり協力していないのではないかということをおっしゃっていました。例えば、仲のいい学生同士なのにレポート内容が全然違って、片方は解けていて片方は解けていないといったことが見受けられる、と。これについては、その後の議論の中でもいろいろと話し合ったのですが、一つのやり方として、ピア・インストラクションという方法がアメリカではあるようです。問題を出して学生同士に議論させ、それを通じて理解を深めていく、そういったことで対応できるのではないかということでした。

 あと、授業中に何度促しても、学生からなかなか質問が出てこないということも話題に上りました。教員の側から指名をしていくといったことで、緊張感を持たせていくという方法をとられている先生もおられました。

 また、板書と、最近多くなっているパワーポイントを比べたとき、基礎概念の理解という面からみたらどちらが効果的かということも議論しました。われわれのグループでは、式を書いて覚えるとか、理解にあわせたスピードになるという点では、板書の方がいいのではないかということで、一定の結論を得ました。

 それから、われわれのグループでは、文系と理系のさまざまな方がいらっしゃったので、その基礎概念の教え方の違いにもついて話し合いました。分野によっていろいろ違いはあるのですが、共通点としては、学生自身にとにかく考えさせること、どこまで分かっていてどこから分かっていないのかということを学生に気付かせること、レポートや質問を通じて学生に何とか気付いてもらうように努力すること、こういう点が基礎概念の理解を深める上では重要なのではないかということでだいたい一致したように思います。

 私の報告は以上です。どうもありがとうございました。