新任教員教育セミナー(2014.9.25開催)

テーマ6「博士課程院生のキャリア形成支援」

  • 報告者:深見 一弘 准教授(工学研究科)
  • 事例紹介:奥村 正悟 教授(学生総合支援センター キャリアサポートルーム)
  • ファシリテータ:田中 一孝 助教(高等教育研究開発推進センター)

 工学研究科の深見です。よろしくお願いします。われわれのグループでは、ドクターの学生、ポスドクも含めた学生のキャリア支援について、学生総合支援センターの奥村先生にご指導いただきながらディスカッションしました。教員になられた方はあまり苦労されていない方も多いと思うのですが、最近ではドクターを取った後、なかなか仕事がない方もいるということで、そういう方をどうサポートしていくかを中心に議論しました。

 一つの方策としては、どのように他の道を勧めるかということが挙げられます。他の道というのは、もちろん分野が違うということもありますし、研究以外の可能性もあります。そういう可能性をどのように勧めるか。教員の立場では、やはり自分の主流の、つまり自分の専門の研究分野以外を勧めることは難しいだろうということが、一つ問題として挙がりました。その中で、アメリカの例などをいろいろ挙げて議論したのですが、アメリカでは物理学から医学の分野に替わる人もいるし、ドクターを取った後に弁理士になる方もいます。それ以外に、皆さんがよく読まれているジャーナルの出版社に就職される方も、メーカーに就職される方もいます。そういう多様なキャリアパスがあるわけです。

 では、日本ではどうでしょうか。日本の企業とは違って外資系の企業などでは、もちろんPh.D.を非常に高く評価してくれているそうです。京大の方にも実際にコンタクトがあって、マッチングが成功して就職した例があるということです。そのマッチングに寄与してくださったのが、本学のキャリアサポートルームです。本学のキャリアサポート体制は非常に充実しているのに、少なくとも今回このディスカッションに参加した方々の大半があまり知りませんでした。せっかく充実しているのに、周知されていないのではないでしょうか。ドクターの方も含めて、特に研究室に就職案内のビラが回ってくると思うのですが、そういう外部の就職斡旋企業と学内のサポートセンターのチラシが、どちらがどちらか分からず、ほとんど見ずにスルーしてしまうということがあって、なかなか周知されていません。

 実際に、教員自ら自身の研究分野以外の分野、研究以外のところにドクターの学生を就職させようとするのは敷居が高いというか、皆さんの方から提案するのは難しいかと思います。その中で、本学のキャリアサポートルームは、第三者的な立場でサポートやアドバイスをしてくだるので、教員としては使いやすい体制があることを、今回あらためて知ったわけです。そういうものを積極的に使っていって、教員だけではクリアしにくいところがありますので、キャリアサポートを積極的に皆さんにも利用していただければいいのではないかと思いました。

 いずれにしても、教員は、どうしたら学生が幸せになれるかというスタンスを絶対に忘れないでサポートしなければいけないというのが共通の認識です。私は本学のキャリアサポートの回し者ではないのですが、一応、宣伝しますと、来年の2月11日に、ドクターの方、ポスドクの方を対象に、本学キャリアサポートルーム主催のジョブフェアが開かれます。私も、今日、サポート体制を聞いて非常に驚いて、ぜひ使わせようと思ったものがたくさんありましたので、先生方の学生にも、ぜひ紹介してあげてください。以上がテーマ6の「博士課程院生ためのキャリア形成支援」のまとめになります。