新任教員教育セミナー(2014.9.25開催)

テーマ4「学生の思考力を鍛える」

  • 報告者:池田 昌司 准教授(福井謙一記念研究センター)
  • 事例紹介:伊勢田 哲治 准教授(文学研究科)
  • ファシリテータ:溝上 慎一 教授(高等教育研究開発推進センター)

 グループ4のまとめを担当させていただきます池田と申します。福井謙一記念研究センターにいます。

 第4グループは、授業や研究室でいかにして思考力を鍛えるかというモチベーションを持ったメンバーが集まりました。最初に、皆さんからどういうモチベーションでこのグループに参加したのかという自己紹介があり、それぞれの問題意識を発表しました。その後、伊勢田先生から、クリティカルシンキングについての分かりやすい講義がありました。その話の骨子は何かというと、クリティカルシンキングをするときには、思考のスキルと思考のベースになる知識、物事を疑う態度が重要であるということでした。特に思考を進めていくスキルについては、論証図を紹介していただきました。何か主張があったときに、それを支えていく根拠は何か、さらにそれを支えていく根拠は何かというように、主張を完全に論理だけにして見せる図を書いてみると、思考をクリアにできるという話でした。疑う態度を養うにはどうすればいいかというと、一番いい、お勧めだと言われていたのが、現状では答えが分かっていない問題について思考を働かせ、自分の意見をまとめるということでした。これは非常に面白いと思います。

 僕はもともと理系の学問を教えているわけですが、結構、知識伝達系の授業が多いのでそういうことは難しいと思っていたのですが、知識伝達系の授業でも、一部、置き換えることでこういうこともできるということでファシリテーターの先生が実例として一つ挙げられたのは、彼の物理の先生が、授業で確立した知識を教えた後に、実生活で見られている不思議、社会の不思議など、答えがはっきりしていないものについて考える時間を設けていたということでした。そういう具体的な方法を紹介していただいて、非常に僕にとって参考になりました。

 最後に、グループの全員でディスカッションしたのですが、特にグループディスカッションを具体的に進める際の実際の問題について語り合いました。重要なこととして1人の方が言われたのは、建設的な批判に慣れさせることが大事だということです。建設的に批判することに慣れてもらうということです。一つ、こういう授業の欠点というか難しいところとして、多人数でやることが難しいという点があるという話があったのですが、TAを上手に使うとできないことはない。ただし、これまでのようなTAではなく、権限をある程度与えられたようなTAが必要だろうという意見が出ました。そんなところです。ありがとうございました。