新任教員教育セミナー(2014.9.25開催)

テーマ3「英語による授業をどう行うか?」

  • 報告者:佐々木 典子 助教(医学研究科)
  • 事例紹介:金 哲佑 教授(工学研究科)
  • ファシリテータ:飯吉 透 教授(高等教育研究開発推進センター)

 医学研究科の佐々木です。よろしくお願いします。第3グループでは、工学部地球工学科の国際コースという、英語で全て授業を行っている、京大でも珍しい部署でご経験を積まれている金先生のお話を、まず伺わせていただきました。人数的にメジャーが留学生の方で、マイナーが日本人となっていて、「イングリッシュスキルが全然違う中で教えるときにどうしたらいいか。また、カルチャーが違い、日本人は自己主張をあまりしないので、留学生なども、面白いと思っているのか、その人の能力なのかも含めて判断しかねるといった事情がある」というお話をされました。

 その後の皆のディスカッションの中でも、日本人がメジャーで留学生がマイナーという環境の中において、教える側として多くの先生方が同じ問題を感じておられるようでした。それに対してどのように対応していけばいいか、かなり盛り上がりました。大きなイングリッシュスキルの違いにどう対応するかという問題もあるけれども、「語学の問題を超えて、学生たちがレポートを書くときに、構造的なレポートをどう書けばいいかを知らない、教授に対するメールの仕方を知らないなど、基本的なしつけのような部分が、実は高校教育などでも全くされていないことが問題だ」ということで、専門を教える各授業でそれぞればらばらにするのはあまりにも効率が悪いので、こういったことに関しては、「ぜひ全学で対応していただけることが一番望ましいのではないか。まとめて対応していただく時間を取って、授業として1回生などの若い学年をターゲットに対応していただく形が、今後望ましいのではないか」ということが、一つ、まとめとして挙がりました。

 その他には、私の疑問でディスカッションしていただいたところが大きいのですが、メジャーが日本人で大多数を占める中で、数名の留学生に対してどういったフォローができるかというところでは、「授業の中でグループワークをしたり、留学生の方をプリビレッジドとしてリーダーの役に当てることもあるかもしれない」という意見がありました。また、「オンライングループディスカッションで、なかなか発言しない日本人の意見を吸い上げたりする」こともありますが、「留学生に対しては授業の外のオフィスアワーの時間を取って別で対応したり、フリップトクラスルームでドロップアウトしそうな日本人に対応するなど、授業の外で両方の対応が可能かもしれない」ということが、もう一つ、まとめのポイントとして挙がりました。

 最後には、どうすれば理想的な授業の準備態勢が取れるかというときに、貴重なご意見として、「若い先生にサバティカル制度なども含めて時間をしっかり与えて、海外的な視点を持っていただく。海外からの視点、日本での授業だけでなく、いろいろな教育の在り方があることを経験していただくことで、同じような議論が毎年続くことを避けられるのではないか」ということで、締めくくりになりました。以上です。