新任教員教育セミナー(2014.9.25開催)

テーマ2「ICTを使った教育―MOOCを中心に―」

  • 報告者:佐々木 貴教 助教(理学研究科)
  • 事例紹介:土佐 尚子 教授(情報環境機構)
  • ファシリテータ:酒井 博之 准教授(高等教育研究開発推進センター)

 理学研究科の佐々木です。第2グループでは、土佐先生から京大でのICTを使ったさまざまな試みの紹介をしていただき、それに関して議論をするという形で進めました。

 MOOCとは、オンラインで講義を行い、それを全世界に発信して、インタラクティブにさまざまな活動を行いながら、みんなで学ぼうという試みです。これに関して京大では、この4月から生命化学の講義を新しく始め、その講義の中でこれまでになかった新しい試みをたくさんやりましたという話を主にしていただきました。

 議論の中では、そういう新しい試みをしていく中で、そもそもMOOCのようなオンラインで発信する講義というものは、一体誰に届けようと思ってやっているのかということが話題になりました。それには幾つかあって、当然、利用者は大学生ぐらいの年代が一番多いということだったのですが、教育機会に恵まれない国や環境にいる人たちが、そういったオンラインの講義に、無料で、いつでも、どこでも、教育に参加できるということもあります。そういう方がメーンターゲットだろうということが恐らく一つの共通理解です。

 それに向けた問題点として、やられた経験のある方は分かると思うのですが、今現在、そういうオンラインでの講座は、いろいろ手続きが面倒だったりします。ネット上でカチカチしながらやるよりも、実際にリアルに講義を受けた方が当然楽で、分かりやすいということがあります。しかし、僕たちのように教育機会に恵まれている者にとってはそれほど魅力がなく、それほど関わっていない人も多い一方で、いろいろな障害があって、やはり教育機会に恵まれない人にとっては、そういった困難などは関係なく、少しくらい面倒でも、少しくらいアクセスが大変でも、何としてもその知識にたどり着きたいという思いは、世界中にたくさんあるはずです。

 その点を考えると、いろいろごちゃごちゃと考えすぎてやらないよりは、どんどんやってみて、未完成の形でもいいのでとにかく発信していき、発信していく中で、みんなにそういったシステムに慣れてもらい、またより良い方向にバージョンアップしていくという形で、今後進めていくことがいいだろうということになりました。

 結論としては、ここにいらっしゃる皆さんもぜひ京大のOCWなどに積極的に参加して、自分の講義をどんどん発信していってもらえればいいな、僕もぜひやっていきたいなと考えています。