新任教員教育セミナー(2014.9.25開催)

テーマ1「科学者倫理教育」

  • 報告者:塚野 千尋 講師(薬学研究科)
  • 事例紹介:平竹 潤 教授(化学研究所)
  • ファシリテータ:松下 佳代 教授(高等教育研究開発推進センター)

 薬学研究科の塚野と申します。テーマ1では、最初に各参加者が自己紹介をかねて科学者倫理や科学者倫理教育について感じている問題を話した後、平竹先生がポケゼミで取り組んでおられる科学者倫理教育の授業について、お話を伺いました。授業の内容としては、学生にまず、モーツァルトの音楽を聴かせると化学反応が進むという「モーツァルト効果」についての偽実験をしてもらいます。学生はすんなりとだまされてしまうのですが、その次の週に種明かしをして、だまされる側にもだます側にも立つ危険性があるということから、科学者倫理について学ぶというものでした。実際に参加したら非常に面白そうなものだと感じました。これについては京都大学のOCWでも見られるそうです。

 その後、グループディスカッションに移ったのですが、科学者倫理教育の行い方よりも科学者倫理とは何かを中心に議論が展開していったように思います。最初に、グレーゾーンはどのあたりかということが話題に上りました。特にコピペと盗用の違い、自分の論文からの引用はどの程度であれば「自己剽窃」にならないのかといったことが議論になりました。それから倫理と法の違い。犯罪行為の場合は「疑わしきは罰せず」だが、研究不正行為の場合は「疑わしきは罰する」になるのだということも、平竹先生からお話がありました。

 後半は、研究室のチェック体制の問題について議論しました。不正が生まれるような状況がどうしてつくられるのかについては、特に教授が忙しくて十分な指導や管理できないという問題が出されました。

 最後に、レビュアーを育てることや、ギフトオーサーシップをなくすことなども、不正行為を減らす上で重要なのではないかという話で終わりました。以上でテーマ1の紹介を終わります。