新任教員教育セミナー(2013.9.10開催)

グループ6「博士課程院生のためのキャリア形成支援」

  • 報告者:田中 洋光 助教(理学研究科)
  • 事例紹介:梅田 幹雄 教授(健康科学センター)
  • ファシリテータ:田中 一孝 助教(高等教育研究開発推進センター)

 現在、博士学生の数はピークを過ぎた感はあるとはいえ、昔に比べ随分多いです。現在、博士卒業後の平均10人に1人がアカデミックにしか残れないという現状では、いかに各学生にマッチングした企業への就職をアドバイスできるかという能力が、われわれ教員に求められています。そこで、われわれが博士に進む、あるいは博士課程の学生に指導する上で、以下の五つの点に気を付けなければならないと考えました。

 まず一つ目は、視野を広げてあげることです。博士に進もうと考えている学生は、アカデミックだけという人もいるので、まずは本当に何を研究したいのかを気付かせて、その上でアカデミックだけではなく企業の魅力などに気付かせることを指導するべきだと思います。場合によっては留学なども勧めて、価値観や判断力の向上を促すことも有用かと思います。

 二つ目は、社会が何を自分に求めているかを意識させることです。ある意味、やりたいことをやるだけというのはアマチュアの世界で、自分は何で社会へ売り込めるかということに気付かせることが、実はプロフェッショナルの世界への第一歩であることを気付かせることが大事かと思います。

 この一つ目、二つ目を語る上で気を付けなければならない点として、三つ目として注意すべきは、企業への就職に対して決して劣等感を植え付けさせてはならないということです。われわれ教員が普段から企業や社会のことをよく勉強して理解した上で、企業への就職がいかに魅力的であって、決してランクダウンではないことを意識して指導していくべきであると思います。

 四つ目は、就職後も学生さんとのつながりを意識して重視することです。具体的には卒業生のネットワークがあることを教え、卒業後も後輩たちの指導や評価に携わらせていくことによって、就職後もこのアカデミアとのつながりを感じさせるような状況を作ることが重要です。

 最後に五つ目、これは個人的には一番大事かと思ったのですが、学生さんに、指導課程の間でどこかで自分の将来を決める折り合いを付けることを意識させることです。昔は教授から「おまえはどこそこに行け」と言われるとそこで就職が決まって、就職できたのですが、この多様化している現在では、学生さんが自己責任で自分の将来を決めないといけない状況です。どういう形で決めるのかは各分野で違うので、具体的には言えないのですが、折り合いをどこかで付けることを意識させて指導しなければならないと思います。

 また、残念ながら議論の途中で終わってしまったのですが、女性の研究者を指導していくことも気を付けなければいけないと思いました。女性には出産や育児がありますので、それぞれのニーズに合ったことを意識してよく指導しなければならないと思いました。今後そのような場面に遭遇した場合、京大にはキャリアサポートルームや、女性研究者支援センターがございますので、その有効利用を検討する必要もあります。ご清聴ありがとうございました。