新任教員教育セミナー(2013.9.10開催)

グループ3「英語による授業をどう行うか?」

  • 報告者:鈴木 裕輔 特定助教(医学研究科)
  • 事例紹介:天野 洋 教授(農学研究科)
  • ファシリテータ:飯吉 透 教授(高等教育研究開発推進センター)

 本日は英語による授業をどう行うかというテーマで、農学研究科の天野先生にご指導いただきました。英語による授業をどう行うかというテーマなので、参加された皆さんの多くは、自分が担当した講義に多くの留学生が参加することと、その留学生の背景として多くの国の出身の方で、さらに多くの知識と広いレベルの、深いレベルから浅いレベルまで多くの知識を持っていることを想定されていました。

 ただし、実際に英語での講義が始まる直前まで、どれくらいの参加人数があるのか、どれくらいの英語力を生徒さんが持たれているのか、どれくらいの知識レベルなのかというのが結構不明な点が多いのです。そのため、英語の講義ならではの特別な組み立てや構成を考える必要があるということが前提としてありました。これを解決するためには、講義の事前の準備と講義の内容と、あとこれは私も意外だったのですが、さらに講義の後の対応を考える必要がある、ということでした。

 事前の準備としては、留学生の方には連絡が届きにくいとか、事前にメールで通知しても返ってこないという事例が報告されているので、留学生と教員の間の連絡役になれるような、留学生の中でもリーダーを一人見つけて、その人を介して連絡を通知する。連絡網を整備することが重要である。さらにその講義で行う内容のシラバスを作っておくことが重要だ、という意見が出ました。

 講義の内容としては、ただでさえ留学生が多くて母語が違うので、論理のつながりや、メッセージデザインは特に重要で、写真やグラフをメインに活用して、当日使う資料の配布を徹底することが重要であるということでした。講義後の対応ですが、留学生は日本人学生と比較して、相対評価がどういう根拠で出されたのか、その公平性をとても重視するので、留学生にある評価を与えたときに、それがどういう根拠で出たのかを説明する必要があるというのが一番新鮮な知識でした。

 最後に、留学生の方はヒアリングの能力が日本人学生に比べて高い、という話題が取り上げられました。その一方で、日本人学生はリーディングとライティングが得意なので、議論の場では留学生が結構発言するらしいのですが、日本人学生の英語力を高めるためには、オンラインでウェブの掲示板を利用してディスカッションすることが、日本人学生の英語力の向上につながるのではないか、という意見が出ました。さらに、理解度のチェックを行うために、実際に日本人学生と対話を行っていくことで、理解レベルをリアルタイムで探っていくことが重要だ、という結論になりました。

 私自身の感想としては、留学生にしろ、日本人学生にしろ、相手との情報のやり取り、メールなり議論なりでやり取りしたことを「見える化」つまり可視化して記録していくことが信頼関係の向上につながって、結果的に良い講義につながるのではないか、という結論になりました。以上です。