新任教員教育セミナー(2013.9.10開催)

グループ2「学生の多様化にどう対応するか?」

  • 報告者:登阪 雅聡 准教授(化学研究所)
  • 事例紹介:須田 淳 准教授(工学研究科)
  • ファシリテータ:溝上 慎一 准教授(高等教育研究開発推進センター)

 我々は学生の多様化にどう対応するかというグループでした。多様化という言葉については、本来学力低下が問題なのですが、よくできる学生さんもいらっしゃるからということで、多様化という言葉になったという最初の話し合いがありました。

 その内訳は、取りまとめをしていただきました電子工学科の須田先生によりますと、昔の京大生は上位3分の1、真ん中くらいの普通の京大生レベルが3分の1、下の方にあまり勉強しない3分の1がいるという組成でした。ところが今は、昔合わせて6割ぐらいいた上の方の学生が、4割くらいに減っていて、その下の方にものすごく受身で、本当に暗記だけで何とか入ってきたという学生が4割くらいいて、その下にまた全く勉強しない学生がいるという組み合わせになっているところから始まりました。

 須田先生の電子工学科では、留年率が30%ぐらいの状態であるということで、これをどうしていくかということから話が始まりました。須田先生の個人的な取り組みにつきましては、配っていただいたレジュメの中にいろいろ書いてあるのですが、それとは別に学科として今どんな取り組みをしているかを最初に説明していただきました。特に注目すべきは、入ってすぐのモチベーションをどのように維持していくかということで、工夫されている点についていろいろお話しいただきました。

 例えば、1回生の後期になってしまうのですが、研究室の取材、概論という名前が付いているのですが、そういう講義の中で研究室を訪問、取材して、その中身をプレゼンすることによって、各研究室でどういうことをやっているかを知らしめるということです。

 それから、サマーキャンプということで夏休みに単位は付かない自由参加ですが、そこで実際に電気回路を組んだり、プログラムを組んだり、実際に飛行船を飛ばしたりということをして、自分のやっている勉強がこんなふうに役立つのだということを知らしめることによって、モチベーションを高め、それで後につなげていくというお話がありました。

 それを踏まえましていろいろと議論があったのですが、一つ皆さんの意見としては、まずモチベーションをどう高めていくかということをいろいろ工夫する必要があるということで、それはやはり早い時期の方がいいということがありました。それから、もう一つは、30%が留年するということなのですが、それは逆に言えば、留年した30%の学生が、1留ぐらいで壁を乗り越えて、京大生としての質を保って卒業していくということなので、それはそれでありなのではないかということです。そのような話でまとまりました。以上です。