新任教員教育セミナー(2012.9.7開催)

グループ7「学習評価・教育評価の現在」

  • 報告者: 猪飼 宏 特定講師(医学研究科)
  • 事例紹介: 大塚 雄作 教授(高等教育研究開発推進センター)
  • ファシリテータ: 高橋 雄介 特定助教(高等教育研究開発推進センター)

 「京大でどう教え、指導するか」という貴重テーマに沿って、京大での学習評価の経験から課題点を出し合った。有効な評価を行うためには、「誰のために、何のために」行うのかを明確にすることが欠かせない。

 「学生の(成長や自習自学の促進の)ために」を見失った評価に意味はない。ここで学生の人格評価を行うつもりで気負うと正確な評価が難しくなるだけではなく、レポートの結果を返さない、などの弊害が出ることもあるし、教員が自信を持って付けていない成績は、学生にも信頼されず、相互の信頼を損なうことにもなりかねない。

 該当講義における学生の「理解度・達成度」の評価を行うと考えれば肩の荷が下りるのではないか。 必修/選択、学部/院、講義/実習により、「何のために」は異なる。評価手法として多く用いられるレポートや講義は、厳格な、あるいは妥当性の高い評価を行う上でそれぞれに注意点がある。

 特にレポートについては、将来の論文指導につながる面があるため、客観的な評価を、提出から時間をおかずにコメント付で返してあげることが強い教育的価値を持つ。 学生の理解を期待する内容を複数の観点(rubric)として整理し、多面的に重複的に評価を行うようにすれば、評価者内・間のばらつきも軽減できるのではないかと考えられている。 そのうえで、学生同士の評価やTAの活用は、複数の目による評価がさらに妥当性を高めることになるし、何よりも教員の負担を下げるので、進んで検討したい。

 加えて、FDでの数々の議論を実践に結びつけるためには、FDの開催を続けるだけではむずかしく、学則の変更や授業時間など、システムレベルでの議論も欠かせない。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/03

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