新任教員教育セミナー(2012.9.7開催)

グループ3「英語による授業をどう行うか?」

  • 報告者: 中村 英二郎 特定准教授(医学研究科)
  • 事例紹介: 天野 洋 教授(農学研究科)
  • ファシリテータ: 田川 千尋 特定助教(高等教育研究開発推進センター)

 「英語による授業をどう行うか?」をテーマに農学研究科の天野洋教授を中心にディスカッションを進めました。まず、問題点としては、「教官側」と「学生側」、の各々に異なった問題点が存在するという前提でディスカッションをスタート致しました。 「教官側」としては、英語で講義を行うこと自体に慣れていないことが、問題点としてまず挙げられました。解決方法として英語でのプレゼンテーションを高める事も必要であるが、基本的には授業のコンテンツ自体をしっかりしたものにすることが重要であるとの意見に集約されました。また、日本語で行う場合に比べて、講義時間中の無駄な会話が減る傾向になるメリットもあり、英語での授業自体にそれほど大きなデメリットはないのではないかという結論に至りました。

 次に学生側の問題点ですが、「英語による授業」に限らず、学部生と大学院生で授業に臨むモチベーションが違い、また、個々の英語力の違いが大きいので、両者について異なった体制作りが必要であるとの意見の集約は得られましたが、残念ながら時間切れとなりました。議論した中では、「教官側」の問題よりも解決に時間がかかるであろうとの心証を得た参加者が多かったかと思います。

 他の議題としましては、私が提案させていただいたのですが、京都大学がグローバル30(2008年7月29日に策定された文部科学省事業。2020年を目処に30万人の留学生の受入れを目指す「留学生30万人計画」)に参加していること自体を、私自身も全く知りませんでした。全教員、全学生に周知、徹底する必要性を強く感じます。

 留学生の受け入れに際しましては必然的に英語での授業が必要となるのですが、現行のシステムでは、対象科目において留学生(母国語が日本語でない学生)が選ぶと授業言語が英語となり、日本人学生のみの場合は授業言語が日本語になると伺いました。留学生、日本人学生の双方にとって、履修科目の選択にあたって分かりにくいシステムであり改善の余地があるとの意見も出ました。

 最後に私個人の感想を申し上げますと、約5年間米国で研究を致しておりましたが、京都大学自体が世界で注目されているということは全くありませんし、現行の授業体制を続けておりますとグローバル社会から取り残されていくというのは明白かと思います。実際、同じ現状認識をお持ちの方が多く本テーマが取り上げられたものと思いますが、教官および学生が危機感を共有して、グローバル化していく学問の世界の中で成果を出して行くことを、ともに真剣に考える時期が来ているのではないかと強く感じました。どうもありがとうございました。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/03

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