新任教員教育セミナー(2012.9.7開催)

グループ2「学力の低下、学生の多様化にどう対応するか?」

  • 報告者: 田中 智洋 特定准教授(医学研究科)
  • 事例紹介: 須田 淳 准教授(工学研究科)
  • ファシリテータ: 松下 佳代 教授(高等教育研究開発推進センター)

 グループ2の参加者は15名でした。全員、理系で、所属は理学研究科、医学研究科、工学研究科、数理解析研究所などです。最初に参加者から、このテーマに関してどういう問題を感じているかを出しあいました。多くの人に共通していたのが、「まじめに出席していても単位が取れない学生がいる」「学力もさることながら学習意欲が低く、専攻の内容に関心をもっていない学生が少なくない」ということでした。

このような問題に対して、須田先生から、工学部電気電子工学科での取組や先生ご自身の授業での工夫を報告していただきました。先生ご自身の授業の工夫は資料集の中に詳しく書いてくださっているのですが、例えば、学生が板書を書き写すことのみに必死であることがわかったので、過去問やレポートとあわせて板書もWeb上に公開しておられるのだそうです。また、授業についての学生の率直な意見を聞くために「正直アンケート」というアンケートを毎回取っておられるということでした。参加者からは、研究や他の仕事も忙しい中でこのような教育への情熱はどこからわいてくるのか、という質問がありました。それに対しては、「いい授業をすれば、優秀な学生が興味を持って自分の研究室に来てくれるので、長い目で見れば、研究室にとってもメリットがあるし、また、専門への興味をわかせることで1割くらいの学生の人生を変えられたかなという思いもある」ということでした。

 工学部の取組で私が興味をもったのは、サマーキャンプです。これは、希望者を集めて、1回生、2回生、3回生それぞれのテーマを与えて、電気電子工学に関わることで何か物を作ったりする実習を、夏休みに3日間かけてやるという取組です。例えば、1回生の場合ならLEGOを使ったロボット製作をやらせているそうです。希望者だけを集めてやるので、参加者はやる気満々の優秀な学生が多く、彼らがさらに輝くということでしたが、一方で、成績の分布でいうと真ん中の6割ぐらいの学生でも、たまたま応募したり、少しやる気があって応募したりすることがあって、そういう学生もものすごく変わっていくという経験をされています。

 そういうお話を伺って、やはり問題点の共通している部分はモチベーションの低さというところにあるのかなと感じました。真ん中の6割ぐらいの学生のモチベーションを一人でも二人でもいいから上げられるような取組を、授業外の活動も視野に入れてやっていかなければいけないなということを実感しました。

 私は医学研究科でそういう物を作ったりというような実習は難しいのですが、やりようによってはモチベーションを高められる取組は可能かもしれません。そのようにして、学生のモチベーションを一人でもいいから高められたらなと思います。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/03

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