新任教員教育セミナー(2011.9.1開催)

グループ5「困難を抱えた学生に向き合うには?」

  • 報告者:農学研究科 特定助教 鬼頭 弥生
  • 事例紹介:カウンセリングセンター センター長 青木 健次
  • ファシリテータ:高等教育研究開発推進センター 特定准教授 及川 恵

農学研究科の鬼頭と申します。大学教育の中で困難を抱えた学生に対するケアに関してお話しさせていただきます。私自身、これまで関わってきた学生の中に問題を抱える人がいた経験がありましたので、このグループに参加しました。また、このグループに参加された先生方の多くが、自分の関わってきた学生の中に問題を抱えた学生がおり、どのようにケアを行っていけばよいのかについて悩んでいらしたそうです。このグループでは、ディスカッションというよりも、カウンセリングセンターの青木先生のお話とそれに対する質疑という形で行われました。その内容についてご報告させていただきます。

まず青木先生より、新入生から大学院生に至るまでの過程と、学生がその中でどのような問題を抱えるのかについてというお話がありました。まず入学後の問題です。当然個人差が大きいわけなのですけれども、大学生活の中であれもこれもやろうと思いつつ、オーバーペースになって、睡眠・食事のペースが崩れ、そして鬱の状態に至ってしまう学生がいるということです。こうした際には、目標をうまく切り替えて、自己イメージを修正していくことが必要になります。

また2回生や大学院生になると、実験など共同で行う研究が始まり、対人関係に問題を抱える学生が出てきます。こうした問題を抱えても、周りに相談できないことがあるのですが、教員にだけは相談できる場合があるため、教員はそういった相談を受け、話をする役割があります。

また鬱についてですが、鬱とはダムの水位が下がった状態であって、水位を上げることが必要であるということです。薬だけに頼るのではなくて、元々の水位を上げることが必要というお話でした。どのようにして治していくのかということですが、まず薬の助けを借りて生活のリズムを整えていくこと。そして次に身体を動かすこと。その次に、リズムが整えられてきた時点で、自分自身で取り組むことのできる活動を確保して少しずつ増やしていくこと。そして最終的に、医師の指導の下に薬をやめていくということです。こうしたプロセスの中では、大学あるいは個々の教員だけの問題ではなく、学生本人と個々の教員、それから学内の専門家すなわちカウンセリングセンターの先生方ですね、それから医療機関、そして保護者の方と、そうした五者の協力、そして役割を認め合うことが重要になっていくということです。

また、専門家にみせた方がよいと考えられた場合にどうするかということについてですが、まずちょっと重い方から勧めるのがよいということでした。病気なのではないかということで、まず京大の診療機関と医者を勧めると。そこまでの問題ではなく、,薬は必要ないということであれば、その次にカウンセリングセンターを勧めることになります。ただし、医師のところに行くのを嫌がるようであれば、まずカウンセリングセンターを勧めてくださいということでした。

このセッションを通して私が特に感じたこととしては、向き合い方というのは学生ひとり一人ひとりの状況に応じて異なるわけなんですけれども、医療機関や、あるいはこういうカウンセリングセンターを訪れるハードルを下げていくことが重要なのではないかと思いました。また学生に向き合うにあたって、他の先生やカウンセリングセンターの先生、あるいは学生の保護者、あるいは医療機関と相談すること、相談するということのハードルを下げることが重要になってくるのではないかと感じています。以上です。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/02

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