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新任教員教育セミナー(2011.9.1開催)
グループ2「学力の低下・学生の多様化にどう対応するか」
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第2グループの「学力の低下・学生の多様化にどう対応するか」をまとめさせていただきます、工学研究科都市社会工学専攻の小池克明です。多分、出席者の中で一番年上ということで、お鉢が回ってきました。 第一には、学生の思考が幼稚化しているということ。論理的思考能力が低下していて、応用力に欠ける――簡単な問題なら解けるけれど、ちょっとひねると全然解けなくなる――、そういう問題が挙げられました。 二番目は、学習意欲の低下です。学力の低下自体は他大学と比べると、京大ではまだそれほど大きな問題ではないけれど、その学力よりもモチベーションの低下の方が問題ではないかという意見が出されました。 第三は、留学生の問題です。京大には2千人近く留学生がいますが、その中に学力が非常に低い学生がいる。日本人学生だけでなく留学生の学力の低下の問題もあるのではないかということが挙げられました。 第四は、学生の多様化です。多様化というのは、一つは、トップクラスの学生と、全然勉強がわからない学生とに分かれているという、幅の大きさということですが、もう一つ、留学生や社会人学生の増加という、そういう面での多様化もあります。その意味での多様化は非常に良いのではないか、という意見がありました。 また、こうした学生の問題に対する指導の問題もあわせて挙げられました。私たちの学生の頃に比べて、今は指導体制が非常にキッチリしてきています。例えばレポートや本試験を添削して返しておられる先生もいるかと思いますが、そういう新しい指導にどう取り組むかということです。また就職志望の学生が大学院生にも多くいますが、そういう就職志望の学生に対して、研究へのモチベーションをどうすれば保たせられるのかということも問題として挙げられました。 このように、参加者から各自が感じている問題を出しあった後に、須田先生から電気電子工学科の取り組みとご自身の授業での取り組みが紹介されました。須田先生の授業で特に面白かったのは、座学ではなくて、手を動かせるということです。どうしても話を聞いているだけではわかるようにはならないものですが、須田先生の授業では、毎回、復習レポートを出して、授業で学んだ知識を使って問題を解かせるということをさせておられるそうです。また、電気電子工学科では、夏休みにサマーキャンプといって、3日間くらい、プロジェクト型の活動をやっているそうです。 このような取り組みに対して、参加者から、「そういう学生にケアをすればするほど、学生がケアされることに慣れてしまって、さらに教員の負担が増すのではないか」というような懸念が出されたのですが、須田先生からは「こういう手間をかければ伸びる学生はぐんぐん伸びていくし、自分の研究室に入ってくれることもあるので、決して苦労ばかりではない」という回答をいただきました。一方で、「このような丁寧な指導ができればよいが、教員に対して労力が大きすぎるので、学期末試験やレポートの採点にはTAを付ける、というようなシステムを作っていただきたい」という要望も出されました。 プロジェクト型の活動でもモチベーションの上がらない学生は、卒業研究になっても上がらないということでしたので、1、2回生の時にどうやってモチベーションを上げるかが大事だ、ということになりそうです。友人にモチベーションのある学生がいればそういう問題は避けられるのですが、それだけでなく、教員の側からも、モチベーションのある学生を積極的に後押しするということが大事なのではないか、という意見も出されました。 要は、学生と一人一人向き合えるように、教員が再度、努力していかなければならないし、また、それを支える体制づくりが必要だと思います。以上です。 |
セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/02
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