新任教員教育セミナー(2010.9.3開催)

グループ5「教育の国際化にどう対応するか?」

  • 報告者:高等教育研究開発推進機構 教授 加藤 立久
  • 事例紹介:経営管理研究部 教授 小林 潔司
  • ファシリテータ:高等教育研究開発推進センター 准教授 田口 真奈

「教育の国際化にどう対応するか」というディスカッションを経営管理研究部の小林先生を中心として行いました。

I would like to speak the conclusion of No.6 group ,but we couldn't find a final conclusion.とういうふうに、半分がG30の外国人スタッフがいる中で、日本語と英語のちゃんぽんディスカッションになりました。ディスカッション自身がモヤモヤとしてわかりにくいところに加えて、英語と日本語が混じってモヤモヤとしたジレンマの中で、核心の捉えがたいディスカッションが進みました。このモヤモヤとした感じが国際化という問題を象徴しているような気がします。ただ、モヤモヤでは困りますので、もう少しまとめていきます。

小林先生の方から、「非常に激しい大学教育の国際化の波が押し寄せている現在、日本は非常に立ち遅れている。また、留学しようという日本人学生が非常に減っている。」という問題提起を皮切りに話が始まりました。日本人学生が留学を嫌う理由として、企業が留学期間を学生時代の浪人期間(プータロウ期間)と見る傾向があり、学生にとって就職活動に不利になるという例が引き合いに出されて、日本の教育の国際化が立ち後れている原因の一つとして日本の社会背景が指摘されました。

大学院での専門教育においては、英語によるディスカッションを行っている研究分野も多く、既に国際化は進んでいます。これに比べて基礎教育・学部教育を英語化するには、どうしたらいいかという議論になりました。特に基礎教育を英語で行うことの是非が問題になり、学問分野に非常に強く依存するという結論に至りました。たとえば、私はchemistryが専門ですが、chemistryは英語でbasic standardを教えることが可能です。しかし、土木工学を専門とされる先生から、一言「地震のない英国の教科書を防災土木工学の講義で使えるわけがないでしょう」という笑い話のような指摘があり、まさに基礎教育の国際化の是非は分野に強く依存していることを物語っています。

そのモヤモヤとした核心の捉えがたい議論の中で、小林先生から、「日本の国際教育のモデルとして京都大学モデルを作り上げられれば良いですね」という御提案があり、「京都モデル」を模索すべくディスカッションを進めました。その議論の中、「英語という語学のスキルを鍛える必要性は認識しながら、それ以上の目的が教育の国際化にはある」という共通の認識に至りました。つまり、英語という外国語で日本人である自分を表現し、国際人として国際社会の中での日本人であるというidentityを持たせるという、そのような国際的な意識を学生に植え付けることがポイントです。モヤモヤとして明快な結論には至らぬディスカッションではありましたが、この共通認識でグループ6のセッションは終了いたしました。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/01

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