新任教員教育セミナー(2010.9.3開催)

グループ1「大講義をどう行うか?」

  • 報告者:防災研究所 助教 山﨑 健一
  • 事例紹介:人間・環境学研究科 教授 小田 伸午
  • ファシリテータ:高等教育研究開発推進センター 特定助教 石川 裕之

グループ1に参加しました防災研究所の山﨑と申します。私たちのグループ1では、まず小田先生より運動科学についての大講義の様子をスライドに映したものを紹介していただきまして、その中でどういったことを考えてこういう講義をしたのかといったことを紹介していただきました。

そこで紹介された事例なのですけれども、それは主観的運動競技と客観的運動競技の不一致という問題についてでして、これは運動選手1キロ5分のペース、結構きついペースなのですけれども、走らせた時にいきなり「20分走れ」といった場合と、「10分走れ」といって10分終わったところで「もう10分」といった場合と、あとは「とにかく走れ、20分経つまで」といった場合、その主観的競技と客観的競技にどういった不一致が生じたのか、こういう内容についての講義の様子を紹介されました。

そこで講義の進め方でポイントであったのは、答えをさっと教えるのではなくて、ひとまず考えさせるということ、各学生にグラフを書かせてそれを見せ合わせる、という点でした。議論させる際にも、まず議論させてその後、何人かに自分の考えを紹介させるということをしていました。いきなり指名して「あなたはどう思いますか」というと、大講義ですからみんなびびってしまうのですけれども、こうやって予め隣同士、前後などのディスカッション時間を設けることで、雰囲気がやわらぐというのがポイントでした。

そういった紹介された事例をふまえて、私たち他の参加者が自分たちの経験、あるいは考えなどをふまえてこういった意見を出しました。授業において大切なのは、教員自身が真剣にテーマに挑む姿勢を見せることである、熱を感じさせることが重要であると。たとえば授業の中では、国家試験の対策のような内容もあるのですけれども、決して試験に必要なことだけをいうのだけではなくて、やはり自分がいかにそこに真剣に取り組んでいるのかということを伝えて根拠を突きだすことが肝要であるという意見が出ました。他に大講義であっても(あっ2番目は同じですね)学生に考えさせる機会を増やすこと、そこが重要であると。授業を行った際に、これはある先生の経験ですけれども、予想を上回る反応が返ってくることもあると。決して授業というのは一方的な知識の伝達ではないのだ、学生と共に作るものなのだと。

もうひとつ大事な、重要だと思われるコメントは、予め授業のシナリオを用意しておいて、それにこだわってしまうと授業が死んでしまう。たとえば、こういう話をしてここで笑いをとろうとか思ってそういうのを予め用意しておくと、案外つまらなくなってしまうと。他のコメントとしては、学生に授業の時にその場で理解させなくても構わないと。教員がこのテーマに取り組んでいるという真剣な姿勢を示すことで、なんとなくその自分の今持っている知識の届かないところでなんか深い世界があるのだなと感じさせれば、それはそれで授業のひとつの形としていいのではないかと。こういった意見が出ました。

総括として「学生をどう授業に巻きこむか」が肝要であると。これが全体で至った結論の主要な部分です。他のセッションのテーマがまさにこれなのですけれども、要は学生をどう授業に巻きこむかが重要、大事なポイントであろうというのが結論です。

***********************************************************************

セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/01

***********************************************************************