新任教員教育セミナー(2012.9.7開催)

グループ4「ソーシャル・メディアを使った双方向型授業」

  • 報告者: 常見 俊直 講師(理学研究科)
  • 事例紹介: 若林 靖永 教授(経営管理研究部)
  • ファシリテータ: 酒井 博之 特定准教授(高等教育研究開発推進センター)

 このグループは、「ソーシャル・メディアを使った双方向型授業」というテーマで、若林先生に講師をご担当いただきました。私たちのグループは参加者が4名でしたので、全体の議論の総括というよりは私個人の感想のニュアンスが強い報告だということを最初にお断りしておきます。

 このテーマは「ソーシャル・メディアを使った双方向型授業」なのですが、かなり前半の部分で若林先生がいきなり、「ソーシャル・メディアと題が付いているけれども、ソーシャル・メディアが大切なのではなくて、きちんとした授業をすることが大切ですよ」とはっきり言われたことがすごく印象的でした。ですけれども、TwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアや、LMSというLearning Management Systemを使うということは、それだけ講義にかける時間を教員が割いているということであり、授業のことを考えて日ごろから活動しているという、その表れとしてTwitterやFacebook、LMSの使用が自然に出てきているのだということを私は感じました。

 また、若林先生にお伺いしたところ、Twitterを使っているのは150人の授業で15人ほどの学生さんということでした。希望者のみなので授業に害があるということはなく、Twitterを使いたい人が気軽に使えるという状況ですので少しライブ感が出るということでした。画面上に「おなかがすきました」というコメントが10人ぐらい出たので、そこで「みんなおなかがすいたから授業をやめようね」ということがあった、というエピソードも伺い、非常に面白いなと感銘を受けました。

 TwitterやFacebookにとらわれず、とにかく授業をきちんと行うことが大切だということを言われ、学生さんにTwitterなどを使ってライブ感を感じていただくには、教員自身が気持ちを高めて、授業の前にほっぺたをたたいて「これから授業だ」という気持ちをすごく高めて、授業中は自ら教員としての役割を演じるということ、熱い気持ちを持って講義をすることが非常に大切なのだということを感じました。

 また、講義を考える上で、例えばピーター・F・ドラッカーが非営利組織の評価の仕組みで用いている四つの項目について考えてみたらどうかということを伺いました。まず一つ目は「使命」です。例えば授業ですと、「その授業の使命は何ですか」ということを自ら問いなさいということを伺いました。二つ目は「顧客は誰か」ということです。自分が1回生対象の授業をするのか、3回生なのか、はたまた大学院生なのかということをしっかり意識しながら授業をつくったり、実際に授業を行いなさいということを伺いました。三つ目は「顧客は何を価値あるものと認めているのかということを気にしなさい」ということでした。教員自身が「これは価値あるものだから」と思うことではなくて、しっかり学生さんの気持ちをくみながら、学生さんが何に価値を置いているかを考えながら授業をしたらよいということを学びました。実際には、Twitterや小さな紙で学生さんの感想を取られたりしているということでした。最後は「自分の授業の成果は何か」ということを常に問いなさいということです。その授業を受けてどういうことを学んだかという成果をしっかり考えて授業を行いなさいということを伺いました。

 また、このような授業を個々人が孤軍奮闘していても、局所最適化ということにしかならず、もし学部全体のカリキュラムを考える場になったら、その学部で最終的なゴール、何を学んで卒業するべきかということをしっかり考えた上で、トップダウンでいろいろな講義などを考えていく必要があるのではないかということを学びました。

 こういうお話をする中で、参加者の中からは、ぜひ来年ポケットゼミをやってみたいという声も上がるなど、とても有意義な時間を過ごすことができました。

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セミナーの映像は、京都大学OCWでご覧頂けます。
下記URLより、どうぞご覧ください。

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/center-for-the-promotion-of-excellence-in-higher-jp/03

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