新任教員教育セミナー(2018.9.19開催)

テーマ1「京都大学の国際化をどのように進めるか」

  • 事例紹介:フェルナンド・パラシオ 特定講師(国際戦略本部)
  • ファシリテータ:Nikan Sadehvandi 研究員・河野 亘 研究員(高等教育研究開発推進センター)

 本セッションは国際戦略本部特定講師のフェルナンド・パラシオ先生が担当され、10名の参加がありました。本セッションには外国人教員を含む多様な文化社会的背景を持つ教員の参加があったため、セッション内の講義・質疑応答・ディスカッションは日本語・英語を併用するかたちで進められました。
 セッションの冒頭には参加者の自己紹介の時間が設けられ、研究関心やセッション参加の動機を参加者間で共有しました。
 セッション前半のパラシオ先生による講義では、まず、大学の国際化をめぐるキーワードとしてどのようなものがあるかとの質問に対して、参加者から研究・教育の国際化を中心とするさまざまな語彙・概念が出されました。それを受けてパラシオ先生は、大学がそれらの課題に対して具体的かつ戦略的に取り組むことの必要性を指摘されました。
 その後、国際戦略本部による国際化推進に係るさまざまな取り組みの概要や支援体制の紹介がありました。国際戦略本部は京都大学の国際化を企画・調整・推進する全学組織であり、ミッションとして (1) 国際的な教育研究活動の企画・調整・支援、(2) 本学の国際的なプレゼンス向上、(3) 学内環境の国際化推進、(4) 国際化推進のための本部組織の整備に向けた企画・調整があることが説明されました。加えて、本セッションに参加した国際戦略本部副本部長の三橋紫先生、教育推進・学生支援部 国際教育交流課の尾形里加課長からも具体的な情報等のインプットがありました。パラシオ先生は「国際戦略本部は学内の一組織に過ぎないが、大学の国際化推進という大きなミッションの下、部局および本部の教職員や学生をつなぐ『橋』として横断的に機能する重要な役割を担っている」と述べました。
 続いて、京都大学が世界に輝く知の拠点であり続けるために目指すべきビジョンを提示する「京都大学の国際化推進基本コンセプト」が紹介されました。セッション後半のグループディスカッションは、同コンセプトが掲げる3つのビジョンに沿う形で3グループに分かれて行われ、教育・研究・社会貢献それぞれの国際的な展開等についてのベストプラクティスや想定される課題について議論が交わされました。具体的には、「学術研究支援室(KURA)等との連携による京都大学における学術研究の国際発信の強化とそれに基づくレピュテーション向上等のポジティブフィードバックの可能性」、「ウェブサイトを通じた情報発信の強化によるリクルーティングの戦略的国際展開」、「マーケティング・ブランディングの強化の必要性(SNSやニューズレターによる情報発信、プロモーショナルイベントの開催、大学関連グッズ・商品開発等)」、「大学が発信する情報の多言語化(英文併記)の必要性(事務文書・メール、ウェブサイト、キャンパス内掲示・案内等)」といったアイディアが共有されました。
 最後にセッションのまとめとして、パラシオ先生は、「大学の国際化をめぐる問題は多岐にわたるが、各部局や本部教職員の相互理解と協力の下、本学構成員が一丸となり、ひとつひとつ着実に進めていくことが肝要」と締めくくりました。

当日の様子