新任教員教育セミナー(2017.9.6開催)

テーマ1「『英語による授業』を担当することになったら」

  • 事例紹介:喜多 一 教授(情報環境機構長/国際高等教育院)
  • ファシリテータ:Nikan Sadehvandi 研究員・河野 亘 研究員(高等教育研究開発推進センター)

 本セッションは、情報環境機構長・国際高等教育院教授の喜多一先生が担当され、外国人教員を含む、多様な分野・所属の18名の参加がありました。
 はじめに、参加者の自己紹介の時間が設けられ、このセッションへの参加の動機を参加者間で共有しました。これまでの海外の大学での教育・研究の経験をお持ちの方もあり、英語での教育について経験はさまざまな中、公募時の要件とされている方や、研究室での留学生の指導なども含めて英語による教育に関して考える必要性を強く感じている、との動機が目立ちました。また、「非日本語話者で、英語での教育経験はあるが、今後、日本語で授業を教える際の課題等を考えるきっかけにしたい」といった声もありました。
 喜多先生による講演では、UCLAや国立台湾大学との共同による英語での遠隔授業等の経験を踏まえ、京都大学で英語での授業を実施する場合の海外学生や留学生との比較から日本人学生の特徴を浮き彫りにし、それに対する具体的な授業運営時の姿勢や手法を提示されました。日本人学生はリスニングやリアルタイムでの発言、LMSなどの掲示板でのオンラインの英語でのディスカッションが苦手であることが指摘されました。その上でいかに教員が授業内容を理解しやすくしたり、発言をしやすくするかが重要であると述べ、授業関連の指示の工夫やPandAなどのICTツールの活用のほか、国際高等教育院で展開されている英語での授業(英語で学ぶ全学共通科目)を参考にすることを勧められました。さらに、教員が教えるということにとどまらず、日本人学生や留学生が学生同士で学び合うことを目指すべきであるという提案をされました。
 グループワーク時のディスカッションでは、留学生・日本人学生混合の1年生向けの英語による授業を担当する場面を設定し、そこで想定される課題と、課題の解決方法についての議論が行われました。その後、各グループから、事前準備から評価に至るさまざまな過程における課題が提示され、「知識や意欲などの学生の多様性の考慮」、「授業内容や到達目標の明確化」、「教材・資料の準備の工夫」、「学生の理解度の把握」、「評価方法・基準の検討」といった視点からの解決方法が共有されました。
 最後に、本セッションのまとめとして、喜多先生は、「英語による授業というテーマを通して、英語で授業をするという固有の課題に関する議論にとどまらず、授業運営全体に通じる本質的な議論に発展する有意義なセッションとなった」と振り返りました。

当日の様子